札幌市役所を辞めたいと感じながらも、「本当に辞めて後悔しないのか」「公務員を辞めたら人生はどう変わるのか」と不安を抱えている方は少なくありません。安定や世間体を理由に踏み出せず、心身をすり減らしている人も多いのが現実です。
私自身も元札幌市役所職員として同じ悩みを抱え、葛藤の末に退職を決断しました。この記事では、実体験をもとに、辞めたいと感じる理由の整理から後悔しない退職の考え方、退職後のキャリアの築き方までを具体的に解説します。
今まさに悩んでいるあなたが、自分の人生を主体的に選ぶための判断材料になれば幸いです。

市役所を辞めたいと感じる人が増えている理由
市役所勤務は安定している一方で、働き方や将来性に疑問を抱く人が増えています。業務内容や人事制度、価値観の変化などが重なり、「このままでいいのか」と悩む職員が少なくありません。なぜ今、市役所を辞めたいと感じる人が増えているのか、その背景を整理します。
業務量と責任が年々重くなっている
近年、市役所の業務は確実に増え続けています。少子高齢化、生活困窮者支援、防災対応、制度改正への対応など、行政に求められる役割は拡大する一方です。しかし、職員数は大きく増えないため、一人ひとりの負担は重くなっています。特に若手職員であっても、住民対応や責任ある判断を任される場面が増え、「思っていた以上にきつい」と感じやすい状況です。残業や休日対応が常態化し、真面目な人ほど業務を抱え込みやすく、心身の余裕を失ってしまうケースも少なくありません。
市民対応・クレーム業務による精神的負担
市役所の仕事で多くの人が苦しむのが、市民対応やクレーム業務です。制度上どうにもならないことでも、窓口や電話では職員が矢面に立たされます。理不尽な要求や感情的な言葉を受け続けることで、精神的に消耗してしまう人も多いでしょう。特に真面目で責任感の強い職員ほど、「自分の説明が悪かったのではないか」と自責思考に陥りやすくなります。このようなストレスが積み重なり、「この仕事を続ける自信がない」「人と関わるのが怖くなった」と感じ、退職を考え始める人が増えています。
人事異動や評価制度への不満
市役所特有の人事異動や評価制度に疑問を持つ人も少なくありません。数年ごとの異動で専門性が積み上がりにくく、やりがいを感じにくいという声は多く聞かれます。また、評価が年功序列に近く、成果や努力が正当に反映されにくいと感じる人もいます。一生懸命働いても評価や待遇に大きな差が出ない環境では、モチベーションを保つのが難しくなります。「このまま何十年も同じ仕組みの中で働くのか」と将来を考えたときに、不安や閉塞感を覚え、辞めたい気持ちが強くなるのです。
価値観や働き方の変化に合わなくなっている
社会全体で働き方や価値観が多様化する中、市役所の働き方に違和感を覚える人も増えています。副業の制限、柔軟性の低い働き方、前例重視の文化などが、自分の価値観と合わないと感じるケースです。民間企業やフリーランスなど、さまざまな働き方を知る機会が増えたことで、「もっと自由に働きたい」「自分の裁量でキャリアを築きたい」と考える職員も増えています。その結果、市役所という安定した環境にいながらも、将来に希望を見いだせず、退職を選択肢として真剣に考える人が増えているのです。
札幌市役所を辞めたいと思ったときにまず考えるべきこと
札幌市役所を辞めたいと感じたとき、勢いで結論を出すのは危険です。感情に流されず、状況を冷静に整理することで、後悔しない判断につながります。ここでは退職を考え始めた段階で、必ず立ち止まって考えてほしい視点を解説します。
辞めたい理由を感情と事実に分けて整理する
「もう限界だ」「とにかく辞めたい」という気持ちが強いときほど、思考は感情に支配されがちです。しかし、まずやるべきことは、辞めたい理由を感情と事実に分けて書き出すことです。例えば、「上司が怖い」「毎日つらい」といったものは感情面、「残業時間が月〇時間を超えている」「担当業務が恒常的に人手不足で回らない」といったものは事実です。感情は変動しますが、事実は比較的安定しています。事実として何が起きているのかを客観的に整理することで、問題の本質が見えてきます。辞めたい気持ちの正体が一時的な感情なのか、構造的な問題なのかを区別することが、冷静な判断への第一歩になります。
今の不満は異動や環境で解決できるのか考える
市役所の仕事は、配属部署や上司によって環境が大きく変わります。そのため、今感じている不満が「市役所という組織そのもの」への違和感なのか、それとも「今の部署・人間関係」によるものなのかを見極めることが重要です。例えば、窓口業務のストレスが原因であれば、内勤中心の部署への異動で大きく改善する可能性があります。一方で、異動を何度経験しても同じ息苦しさを感じている場合は、組織文化そのものが合っていない可能性もあります。異動で解決できる問題なのかを考えることで、退職以外の選択肢が見えてくる場合もありますし、逆に「やはり辞めるべきだ」という確信を持つ材料にもなります。
一時的な疲労か根本的な価値観のズレかを考える
繁忙期や人事異動直後、トラブルが重なった時期などは、誰でも「辞めたい」と感じやすくなります。このような場合、原因が一時的な疲労やストレスであれば、休養や環境調整で回復する可能性があります。しかし、「安定よりも成長を重視したい」「前例踏襲の文化が合わない」「もっと裁量を持って働きたい」といった思いが根底にある場合、それは価値観のズレです。価値観のズレは、時間が経っても解消されにくく、我慢を続けるほど苦しさが増していきます。自分が何を大切にして働きたいのかを見つめ直し、それが札幌市役所で実現できるのかを考えることが、後悔しない選択につながります。
元公務員の私が退職を決断した理由
公務員として働く中で、何度も「辞めたい」という気持ちと向き合ってきました。簡単に結論が出たわけではなく、迷い、悩み、立ち止まった時間も長くあります。ここでは、私自身が退職を決断するまでの過程を正直にお伝えします。
辞めたいと思い始めたきっかけ
最初に「このままでいいのだろうか」と感じたのは、仕事そのものが嫌になったからではありません。業務には責任もやりがいもあり、評価も決して低くはありませんでした。ただ、忙しさの中で自分の時間や心の余裕が削られていき、仕事以外の人生が止まっているような感覚を覚えたのがきっかけです。目の前の業務をこなすだけで精一杯になり、数年後、十数年後の自分の姿を想像したとき、前向きなイメージが持てませんでした。「この働き方を何十年も続けるのか」と考えた瞬間に、違和感がはっきりとした形で表れたのです。
辞める決断ができなかった時期の葛藤
辞めたい気持ちが芽生えてからも、すぐに決断できたわけではありませんでした。公務員という安定した立場を手放す不安、家族や周囲の目、これまで積み上げてきたキャリアが無駄になるのではないかという恐れが常につきまとっていました。また、「今はつらいだけで、いずれ慣れるのではないか」「異動すれば状況は変わるかもしれない」と自分に言い聞かせ、結論を先延ばしにしていた時期もあります。一方で、心のどこかでは無理をしている自覚もあり、仕事に向かう足取りが重くなっていく自分に気づいていました。
最終的に背中を押した出来事
退職を決断する大きな転機となったのは、自分より後に入った若手職員の姿でした。必死に業務を覚え、疲弊していく姿を見たとき、かつての自分と重なって見えたのです。そのとき、「この環境に違和感を覚えながら、何も変えずに居続けることが本当に正しいのか」と強く考えるようになりました。また、外の世界で働く人の話を聞く中で、公務員以外の選択肢が思っていた以上に多いことを知ったことも背中を押しました。自分の人生を自分で選びたいという気持ちが、不安を上回った瞬間だったと思います。
退職を伝えた日の正直な気持ち
退職の意思を伝えた日は、正直に言えば怖さと緊張でいっぱいでした。引き止められるのではないか、否定されるのではないかと不安もありました。それでも、言葉にした瞬間、不思議と肩の力が抜けたのを覚えています。大きな決断をしたという重みはありましたが、「ようやく自分の本音を認められた」という安堵感のほうが強かったです。退職がゴールではなく、あくまで新しいスタートだと感じられたことで、前を向く気持ちが芽生えました。今振り返っても、この決断を後悔していません。
市役所を辞めるまでにやっておいてよかった準備
市役所を辞める決断は感情だけでは乗り越えられません。退職後の不安を最小限に抑えるためには、在職中からの準備が重要です。ここでは、実際にやっておいてよかったと感じている具体的な準備についてお伝えします。
在職中に始めた情報収集と自己分析
退職を考え始めた段階でまず取り組んだのが、情報収集と自己分析でした。いきなり転職活動を始めるのではなく、公務員以外の働き方や業界、職種について幅広く調べることから始めました。同時に、市役所での業務経験を振り返り、自分がどんな業務にやりがいを感じ、どんな場面で強いストレスを感じていたのかを整理しました。窓口対応、調整業務、資料作成、対外折衝などを細かく分解することで、自分の強みや向いていない仕事が見えてきます。この作業をしておくことで、辞めたい理由が感情だけでないことを確認でき、退職後の方向性を冷静に考えられるようになりました。
転職市場のリサーチ
次に行ったのが、転職市場の現実を知るためのリサーチです。公務員経験が民間でどう評価されるのか、どの職種で活かせるのかを把握することは、不安を和らげるうえで非常に重要でした。求人サイトや転職エージェントの情報を見ていくと、思っていた以上に公務員経験を評価する企業があることが分かりました。一方で、即戦力が求められる職種ではハードルが高い現実も見えてきます。良い面も厳しい面も含めて市場を知ることで、過度な期待や不安に振り回されず、現実的な選択ができるようになりました。
お金と生活に関する現実的な準備
退職後の生活を支えるために欠かせないのが、お金に関する準備です。私はまず、数か月から半年程度は収入がなくても生活できる貯蓄があるかを確認しました。退職金や失業給付の仕組み、社会保険や年金の切り替えについても事前に調べておくことで、退職後の手続きに慌てずに済みました。また、生活費を一度見直し、固定費を減らす努力も行いました。金銭面の見通しが立つことで、「辞めたら生活できないのでは」という漠然とした不安が軽減され、落ち着いて次のキャリアに向き合うことができたと感じています。
公務員を辞めたい時におすすめのサービス
公務員を辞めたいと感じたとき、一人で悩み続けると視野が狭くなりがちです。客観的な診断や第三者の支援を活用することで、自分に合った選択肢が見えやすくなります。ここでは、公務員の悩みに寄り添うサービスを紹介します。
適職診断アプリ アサイン
アサインは、自分の強みや価値観を客観的に把握できる適職診断アプリです。公務員として働いていると、日々の業務に追われ、自分が本当に向いている仕事を考える機会が少なくなりがちです。アサインでは質問に答えるだけで、思考の傾向や得意分野が可視化され、民間企業を含めた幅広い職種との相性を知ることができます。辞めたい理由が曖昧な状態でも、「なぜ今の仕事がつらいのか」「どんな働き方を求めているのか」を整理する手助けになります。転職を前提にしなくても、自己理解を深める目的で使える点が、公務員にとって大きなメリットです。
クジラボ(公務員特化のキャリアコーチング)
クジラボは、公務員のキャリアに特化したコーチングサービスです。公務員特有の悩みや制度を理解した上で相談できるため、「民間の転職サービスでは話が通じない」と感じている人に向いています。辞めるべきか続けるべきか迷っている段階でも利用でき、無理に転職を勧められることがない点が特徴です。これまでの経歴や価値観を丁寧に言語化しながら、今後の選択肢を一緒に考えてもらえます。公務員という立場に縛られず、自分の人生全体をどう設計するかを考えたい人にとって、心強い存在になるサービスです。
カケルのお悩み相談室
カケルのお悩み相談室は、キャリアだけでなく、仕事にまつわる不安や迷いを幅広く相談できるサービスです。公務員を辞めたいと感じる背景には、仕事内容だけでなく、人間関係や将来への不安、自己肯定感の低下などが絡んでいることも少なくありません。カケルでは、そうした漠然とした悩みを否定せずに受け止めてもらえるため、気持ちの整理に役立ちます。結論を急がず、自分の本音を言葉にする時間を持つことで、退職という選択が本当に必要なのかを冷静に考えられるようになります。誰にも言えなかった思いを吐き出したい人に適したサービスです。
札幌市役所を辞めた後のキャリアの選択肢
札幌市役所を辞めた後のキャリアは一つではありません。公務員経験は決して無駄にならず、活かし方次第で多様な道が開けます。ここでは、現実的かつ選択されやすい代表的なキャリアの方向性を紹介します。
民間企業への転職
民間企業への転職は、札幌市役所を辞めた人が最も選びやすい選択肢の一つです。公務員経験は評価されにくいと思われがちですが、実際には調整力、文書作成力、法令理解、利害関係者との折衝力など、民間でも通用するスキルが多くあります。特に総務、人事、法務補助、企画、カスタマーサポートなどの職種では親和性が高い傾向があります。一方で、成果主義やスピード感、数字への意識など、公務員とは異なる文化に戸惑う場面もあります。事前に企業文化を理解し、自分に合った環境を選ぶことが、転職後の満足度を高めるポイントになります。
公務員経験を活かした関連団体・外郭団体
公務員経験を直接活かしたい人にとって、関連団体や外郭団体は現実的な選択肢です。行政との連携が必要な事業を行う団体では、市役所で培った制度理解や調整経験が強みになります。業務内容や進め方が行政に近いため、環境の変化が比較的緩やかで、心理的な負担が少ないと感じる人もいます。ただし、組織によっては給与水準や昇給の仕組みが限られている場合もあり、将来性については事前の確認が欠かせません。安定性と経験活用のバランスを重視する人に向いた選択肢と言えます。
フリーランスや副業から始める働き方
近年増えているのが、フリーランスや副業から新しい働き方を模索するケースです。いきなり独立するのではなく、在職中や退職直後に小さく始めることで、リスクを抑えながら挑戦できます。文章作成、調査、事務代行、コンサルティングなど、公務員時代に培ったスキルが活かせる分野も少なくありません。自由度が高い反面、収入が不安定になりやすいため、自己管理能力や計画性が求められます。安定よりも裁量や柔軟な働き方を重視したい人にとって、有力な選択肢となるでしょう。
それでも札幌市役所を辞めたいあなたへ伝えたいこと
ここまで考え抜いてもなお「辞めたい」という気持ちが消えないなら、その思いには意味があります。無理に押し殺す必要はありません。元公務員として、同じ場所で悩んだ経験があるからこそ、今のあなたに伝えたいことがあります。
辞めたいと思う自分を責めなくていい
札幌市役所を辞めたいと感じると、「甘えているのではないか」「我慢が足りないのでは」と自分を責めてしまう人が多くいます。しかし、辞めたいと思うこと自体は決して悪いことではありません。それは、今の環境や働き方が自分に合っていないというサインでもあります。真面目に仕事と向き合ってきたからこそ、違和感に気づいたとも言えます。気持ちに蓋をして無理を続けるほど、心や体は静かに疲弊していきます。まずは「そう感じている自分」を否定せず、受け止めることが、次の一歩を考えるための大切な土台になります。
公務員を辞めることは逃げではない
公務員を辞める選択に対して、「逃げ」「もったいない」といった言葉を向けられることもあるかもしれません。しかし、合わない環境から離れることは、逃げではなく選択です。続けることだけが正解ではなく、自分の価値観や人生を見つめ直した結果として辞める決断をする人もいます。実際に退職して感じたのは、辞めるには相応の覚悟と準備が必要で、決して楽な選択ではないということです。逃げるどころか、自分の人生に責任を持つ行動だと、今ははっきりと言えます。
人生は札幌市役所だけで決まらない
札幌市役所は確かに安定した職場であり、多くの人にとって魅力的な環境です。しかし、あなたの人生がそこで完結するわけではありません。外の世界には、これまで知らなかった働き方や価値観、人との出会いがあります。公務員を辞めたからといって、人生が失敗になるわけではなく、むしろ選択肢が広がる人も多くいます。一つの肩書きに人生を縛られず、「どんな人生を送りたいか」という視点で考えることが、長い目で見たときの納得感につながります。
今悩んでいるあなたに元公務員として伝えたい言葉
私自身、悩みながら札幌市役所を辞める決断をしましたが、今振り返っても「考え抜いて選んだ」という事実が自分を支えています。大切なのは、辞めるか続けるかの答えを急がないことです。悩む時間は無駄ではなく、自分の人生と向き合っている証でもあります。どんな選択をしても、あなたが真剣に考えた結果であれば、その先でやり直すことはできます。どうか一人で抱え込まず、自分の気持ちを大切にしながら、納得できる選択をしてほしいと思います。
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